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デカップリングどころか「米中カップリング(一体)経済」といえるほどに両国の結びつきは強アメリカの打つ手としては当然、金融緩和だ。
サブプライムローン問題が深刻化した二○○七年秋から年末にかけ、FRB(米連邦準備制度理事会)は三回の利下げを実施した。
景気はなかなか浮揚しない。
その一方で、利下げによりドル安が進み、原油をはじめとする商品市場に投機マネーが流入する。
利下げがインフレを加速させる構図だ。
実際、物価はじりじりと上昇している。
二月の米消費者物価指数(CPI)は原油高もあり、事前の市場予想を上回り、前月比○・八%の上昇となった。
こうして景気が浮揚しないままインフレだけが進む。
つまり、スタグフレーション(不況下のインフレ)という最悪の状況に陥る懸念が生じてきているのだ。
グリーンスパン前FRB議長も「スタグフレーションに陥り始めてはいないが、初期症状が見られる」と述べ、スタグフレーションの兆候について懸念を示した。
FRBはいま、金融政策の術を失いつつある。
日本経済が受ける影響も小さくない。
現在の日本経済は完全に外需依存である。
世界経済が好調だったからこそ、今回の景気拡大は実感こそ乏しいものの戦後最長を記録したのだ。
アメリカ経済が失速すれば、中国と同様に日本の対米輸出も落ち込み、景気は後退しかねない。
一方の我が国の内需に関しては振わないどころか、ますます厳しい状況だ。
サブプライムローン問題に加え、原油高をはじめとするインフレ、円高など経済の逆風が強まる。
さらに建築基準法、金融商品取引法、貸金業法などの法改正が景気の足かせになりつつある。
建設業界をはじめ、企業の倒産件数も増えており、「官製不況」の様相を呈している。
中国バブル崩壊の波はアメリカにも押し寄せ、時間差を置いてアメリカのバブルも弾ける。
なんとか急落を免れていた株や不動産の価格がついに暴落する。
資産価格暴落の影響は次第に実体経済へと波及し、アメリカ経済を押し潰す。
米ドルが暴落する可能性もあるだろう(実際には米ドルよりも中国人民元やほかの新興国通貨の方が大きな打撃を受けることだろう)。
最終的には全世界を巻き込み、世界中のあらゆるバブルが崩壊する。
しかも、そのバブル崩壊は覇権の移行を伴う可能性が高い。
すでに述べたように、覇権の移行に伴ってバブルが崩壊した場合、次に覇権を握る新興大国にすさまじい打撃を与える。
相場が暴落前の水準を回復するのに一○年から三○年という長い時間を要している。
次の覇権大国が中国だとすれば、中国経済は少なくとも一○年間は死んだのも同然といった状態に陥る可能性が高い。
ここに「覇権の移行パターン」を上回る壮大な歴史上のパターン性が存在するのだ。
実は歴史のサイクルには、八○○年を一つの単位とする、巨大でしかも最も重要なサイクルがあるのである。
しかも、現在はその八○○年サイクルのまさに変わり目に位置しているのだ。
八○○年周期説は、村山節氏が戦前に発見した説である。
その後、一生をかしてみよう。
私が初めて文明総図を見てこの説明の概要を聞いたとき、やはり「まさか、そんな馬鹿な。
人類の歴史が八○○年ごとにきれいなパターンを描いているわけがない」と思った。
念のために家に帰って年表を引つくり返して調べてみた。
すると、しばらくして自分の顔から血の気が引くのがわかった。
確かに歴史は八○○年ごとにきれいなパターンを描いているではないか。
人類の歴史はあるきれいなパターンを伴いながら、東と西の文明に分かれて興亡を繰り返してきた。
つまり、東洋と西洋が八○○年ごとに交差しながら興隆と没落をかわるがわる繰り返してきたのだ。
一三世紀から二○世紀までの八○○年と、五世紀から三世紀までの八○○年におけるアジアとョ−ロッパの力関係を比べると、前半の八○○年はアジアおよびイスラムという二大勢力が巨大な文明を築いた。
同時期、ョ−ロッパは「暗黒の中世」と呼ばれていた。
それに対して後半の八○○年間はョ−ロッパが興隆した。
このように、東洋と西洋は八○○年ごとに力関係を逆転させているということがわかる。
問題はその八○○年目の「文明交代期」である。
ほぼ一○○年にわたる移行期は覇権の移行期と同様、危険きわまりない大動乱期なのだ。
覇権の移行が「恐慌」を引き起こすのに対し、文明の波という壮大な津波の移行は、地球規模の「民族大移動」「戦乱」、帝国ときには文明そのものの「没落や消滅」を引き起こす。
まさに恐慌どころではないのだ。
その八○○年ぶりの大動乱期にいま私達は突入し始めた。
幸か不幸か、私達は八○○年ぶりの自然淘汰のドラマをこれから目の当たりにしようとしているのだ。
しかも、一二世紀前半を境にそれまでの西洋の時代が終り、東洋の時代がやって来る。
実際に目の前で繰り広げられている現象を見ればわかる。
中国が日の出の勢いで成長を続ける一方で、アメリカの力は徐々に衰えつつある。
かつてアメリカに集中していた投資マネーのドル離れが起き、ここ数年、主要通貨に対してドル安が進行している。
逆に中国には世界中のお金が集中し、巨大なバブルが形成されている。
時代の大きな流れは明らかに西洋←東洋といえるので、問題は近未来である。
これまでのパターンが繰り返されるとすれば、私達はこれから三世紀の中頃(二○五○年頃)まで、すさまじい動乱期を迎えなければならないことになる。
現在の世界は、覇権の移行期と八○○年周期における文明交代期が重なるというまさに激動と動乱の時代にあるのだ。
その第一弾が「世界大恐慌」というわけである。
そのとき、日本はどうなるのか。
あなたの生活はどうなるのか。
それについて次章で詳しく見ていきたいと思う。
二○世紀初頭、第一次世界大戦が起き、さらに一九二九年の二ューヨーク大暴落で終りを告げる投資ブームが発生したことで大英帝国の覇権に終止符が打たれたように、いまアメリカ帝国が没しつつある。
六○年代後半以降のアメリカのパワーの衰退も驚くほど急である。
前回のパターンとまったく同じように、アメリカの優位性が急速に衰えつつある時期に、次の大国となりうる中国で大バブルが発生した。
〃幻想〃であることが間もなく証明されるであろう。
人間の社会は静的なものではない。
むしろ反対に、常に揺れ動く、嵐を内に秘めた劇的なものである。
人間の固体を含めてすべての事象には「波」がある。
経済サイクルも含めて、人間がかかわるあらゆる行為のサイクルの根源は「満ち引き」である。
潮の満ち引きと同様のことが人間社会の根底に厳然と横たわる世界的な経済パニックがいつ起こっても不思議ではない危険きわまりない時代に、我々は足を踏み入れようとしている。
第二次世界大戦以来、経済発展は恒常的なものになったという〃仮説〃が信じられ続けてきた。
先進国に住むほとんどの人々が、再び恐慌がやって来るなどということを宇宙人による地球への侵略ほどにもありえない話だと信じ続けてきた。
我々はいま、巨大な引き潮の真只中で波にさらわれそうな貝に似ている。
これまでのあまりにも長い繁栄の時代のツケをいま、一挙に払わねばならない瀬戸際へ追い詰められている。
資本主義経済の歴史は、この世の中にはダダで手に入るものは何一つなく、必ずツケを支払わねばならないことを厳然と示している。
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